【常識と固定観念 ~思考せぬ者 論ずるべからず~】
本年の造りより新社長のもとで酒造りを行なっております。
実験作として今までの定番銘柄とは対極に位置する甘口のお酒を造りました。
嗜好品のため賛否両論あって然るべしだが、一つハッキリさせておきたいことがある。
「どんな酒にも必ず輝くシーンがある」ということだ。
今回の甘口酒は日本酒度-9.8というもので、定番商品は+3前後。真逆の酒質であることがわかる。
社内の人間で集まって飲んだが、反応は人それぞれであり、是非を問うものではないが、ただ一つ容認できない言葉があった。
「あー甘いな。酒は辛口じゃないと口の中がダレてきて、長く飲めないからダメだ」
その場で反論できなかった自分が情けない。
正直「そんな時代は終わっている」のである。
一升瓶で酒を買ってきて、晩酌の始まりから終わりまでその酒だけ飲む。そんな飲み方が果たして現代の主流だろうか。
ビール、チューハイ、ハイボール、ワインなどなど、他にもお酒はたくさんある。
飲み屋に行って終始同じ日本酒を飲み続けることがあるだろうか。
飲み比べ、あっちに行ったりこっちに行ったりするだろう。
変わりダネがあっても良いのだ。むしろ顧客にとっては喜ぶべき物であろう。
現状を冷静かつ正確に分析し、把握し、論ずるならば良い。
しかしロクに思考もせずに「昔ながらの常識」という化石のような固定観念に縛られ、それを根拠として物事を判断するような愚かな行為を続けていては、そしてそんな姿勢や古い常識が支配するような場においては決して良いものは生まれない。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉の通り、従来の枠から出られない視野の狭い価値観は保守的で時代遅れなものしか生まない。
造り手と売り手の若い我々はそうならないよう、常に今の「常識」を疑い、どんなに後ろ指を指されようとも今の「非常識」を、この先の「常識」に変えるべく、挑戦していきたいと思う。
若い力よ、今こそ立ち上がれ!
古臭い「常識」に反旗を翻すのだ!!